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Fisher's Column

vol.13 イーチャへの想い/奥田 巌啓[2017.12]

イーチャ川

イーチャ川はロシア カムチャツカ半島の中程にあり、半島の西に向かって流れる200km以上ある川。 2015年秋ロッジが完成。次の夏、私たちは日本人として初めて入ることができた。 カムチャツカ半島は世界的にも手付かずの自然が多く残り、まさに秘境と呼べる土地。一方でどこに行くにもヘリを利用しなくては容易に立ち入ることもままならないのがカムチャツカでもある。 漫画釣りキチ三平などから、軍の払い下げのようなヘリでの釣行を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないだろうか? 確かに、これぞカムチャツカかもしれない。

かつて、私はヘリを利用して、何度か釣行したことがある。 私にとって、忘れられない釣行となったのは事実。 しかし、それには問題が二つ。 一つは天候不良によるスケジュールの不確実さだ。 カムチャツカ半島にある豊かな川の多くは半島西側に向かって流れているのだが、中央部には山脈があり、釣り場に入るにはこれを越える必要がある。 つまり、一度天候不良となればヘリは山脈を越えることはできないのだ。無理をすれば墜落と言う危険もある。 魚が豊かな川は水が豊かである。すなわち、このカムチャツカは雨が多いということを意味している。言い換えればヘリが飛べない日も多いということでもあるのだ。 我々日本人が取れる長期の休みはせいぜい一週間ほど。現場まで2日間。往復4日。一度ヘリが飛べなければたちまち釣りの時間がなくなってしまうのだ。

もう一つがコスト。 私たちが釣り場に入る為には、そこに宿泊する為の様々な機材などを持ち込まなくてはならない。 その準備の為にヘリを一往復。 我々が釣り場に入るのに一往復。 そして片付けの為に一往復。 合計三往復ヘリを飛ばす必要があるのだ。 その費用は膨大であり、先に書いた天候不良が重なれば青ざめる程度では済まなくなってしまうのだ。

陸路で行ける素晴らしい川。 これが私の長年の夢であった。 それをかなえてくれたのがイーチャ川だ。
イーチャ川の周りには基本的に人は住んでいない。河口付近にわずかな集落があるのみで、あとは原住民が住んでいるとか、いないとか。 衛星写真からも上流部に鉱物資源の採掘施設があるだけで、川添いには道路らしいものすら見当たらない。 まさに手付かずのままの川がそこにある。

イーチャロッジオーナーのミハエルと

そして何より素晴らしいのがロッジオーナーのミハエルの姿勢だ。
1年目、その豊かさに驚いた一方で、かつてのシベリアコッピ川を知る私としてはその将来を案じずにはいられなかった。
私はおよそ20年前から、シベリアコッピ川を訪れている。ウエーディングしている私の足にサクラマスがぶつかってくるほどの魚影に目を疑った。手つかずの自然は私が見たことのない200年前の北海道を想像させてくれた。 この地に日本人が釣行するようになり、日本のサクラマス釣りは道具、技術共に大きく発展することになった。その一方でコッピ川も変貌していった。20年ほど経った今、コッピ周辺には沢山のフィッシングロッジが建ち並び、ひっきりなしにエンジンボートが行き交うようになった。ロシア人が使用するルアーやフィッシングタックルは日本製が当たり前になった。一時は禁漁措置が取られたこともあるほどに魚は減少してしまった。現在、コッピのガイド達は魚を守るために日々努力をされており、辛うじてその自然は保たれている。しかしコッピの魚の減少の一端を我々日本人が担ってしまったのは事実であると考えている。
私は、オーナーミハエルに早くレギュレーションを作るように提案した。 真剣に耳を傾けてくれるミハエルの姿勢に私は安心した。
そして2年目の今年。ミハエルはレギュレーションを作り、ガイドたちにもしっかりと教育を施していた。 その成長ぶりには驚かされた。 早い。とにかく行動が早い。 良いと思ったことはまずやってみる。失敗したら修正する。 彼らの素晴らしいところだ。 我々日本人も見習わなくてはならないと感じた。

イーチャはスタートしたばかりの原始の自然が残る川。 日本ではけっして見ることが出来ない生きた川がある。 この先のイーチャ川がどうなっていくか。放流に頼らず、今の自然がいつまでも保たれることを願いながら、今後もミハエルを応援したいと考えている。 そして日本の川の将来の為にも是非とも多くの方に体感していただきたいと思っている。

イーチャバーのガリエツとシルバーサーモン

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