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Fisher's Column

vol.9 はじめの3年/吉野康之[2014.12]

普通、コラムを書くって「小さいころから3歳上の兄と一緒に近くの川で真っ暗になるまで釣りを・・・」とかの少年時代があって。青年時代に「リュックを背負って東北の河川を・・・」。中年になって「北海道の本流の魅力に取り付かれて・・」そして「カナダやニュージーランドでの大物との格闘・・・」みたいな流れで書かないとカッコがつきませんが、私の場合、全くそんな経験も高い志もありません。
10年ぐらい前から近くの港でシーバスやメバルをルアーで狙っていて少し飽きてきたので、年取って楽しめる趣味として一人で出来るようにと(それこそ、フライで一日一匹、魚のお顔が拝める程度)、フライを始めたのが5年ほど前。それぐらいのユルイ釣り師(こんなの釣り師とは言いませんけど)の私が、奥田さんにお世話になって今までのことを書きたいと思います。
ですから、これからフライをやってみようかな。フライをやりだしたけど、本当に出来るようになるの?って思ってる人向けのコラムです。

北海道に行きだしたのも「北海道でガイドさんに付いて釣りしたら釣れるでしょう」程度の思い。だから何人かのガイドさんを転々としました。そんなガイドさんとの釣りでも釣れたり釣れなかったり。今思えば「あの時の自分で、そら釣れんわ。」といった感じ。
その当時は、ガイドさんに連れて行ってもらったポイントを地図にマークして「また、ここに自分で来ればいいんでしょ」的な釣行でした。
そんな中のお一人として、たまたま奥田さんにガイドを頼みました。
初めてのガイドで「それではここから釣り上がりましょう。」と始まるや否や。「ちょっとそこに座ってください。吉野さんのキャスティングですが・・・」。少し釣りをしたら「魚は川の流れがYの字に・・・」となりました。
驚きましたね。初めての経験でした。もちろん、私だって釣りの技術書や雑誌は読みますし、ガイドさんに付いての釣行も経験してます。
でも、初めて「どうして釣れるのか」「どうしたら釣れるのか」を川を前にして具体的に説明してくれました。聞いてて、川の中にいる魚がフライを見つけて、咥えるイメージが始めて湧きました。
ここが、第一のポイントでした。
「釣りにはちゃんと理屈が合って、理解してやらないと釣れるようになりませんよ」と言うことが飲み込めました。 これが、3年前の秋の事。それから色々教わりました。今は、行ったポイントをマークすることもありません。

渓流釣り

それから、ダブルハンドを教わったり、地元四国の川で釣行したり。少しは上達した感じだったのですが、「吉野さん、一度、釣ってる姿をビデオ撮りしましょう」と言う事になりました。
私にしたら「結構上達してるし」みたいな感じでしたが、奥田さんにしたら「全く上達しないなー。一度自分の姿を見せとかないといつまでたってもこのままだなー。」だったのでしょう。
「はい。それでは、あそこの木の下まで自由に釣りあがってください。」 【30分ぐらい釣行】
「はい、ご苦労様。一緒に観てみましょー。」
「吉野さん。これ見てどうですか。これが、TVの釣り番組だったらどう思います?感想を一言で言うと?」
「そう言われましても・・・・うーん」
【二人、長い沈黙。決して奥田さんから教えてくれそうにない雰囲気ムンムン】
私:心の中で「もう許してくださいよー。いじめないでー。帰りたくなってきたよー」
奥田さん:「これが釣り番組だったら観ててどう。技術的なことじゃなしに」
【長い、沈黙・・・再び】
奥田さん:「分らないかなー。これが釣り番組だったら、退屈でしょ。た・い・く・つ!」

つまり、こう言うことです。
私の場合、ずーと同じところに立って、同じ流れを何度も流していたんですよ。
挙句の果てに、同じところで後ろに引っ掛けたりして。だから、他人が見てたら、下手な同じことを繰り返しているだけで、見ててもつまらない訳です。だから「退屈」。 立ち位置を変える。フライを変える。流す場所を変える。そして、どんどん先に進んでいく。いい場所に立って、いいポイントに一発勝負!これができていなかったのですね。
これも衝撃。よく渓流釣りの本に「足で釣る」みたいなこと書いてますね。これなんかもこの意味なんでしょう。
それ以来、渓流でこのことを実践していくと、結構しっかり結果が出ました。
これが第2のポイントでした。「魚って結構いるんだ。今までは下手で釣れなかっただけ」が分りました。これが昨年の夏。

キャスティング練習

それから、カムチャッカ行きを決めてからです。
「秋のアメマス。バンバン釣って、釣り感をつけましょう」という釣行で、ボーズ。
「吉野さん。正直、この状況でアメマスすら釣れないのは厳しいね。」
ダブルハンドのキャスティング出来ていない⇒ラインが流せない⇒フライがポイントに入らない⇒釣れない⇒やる気を失う。の悪循環。正直、練習してなかったです。
落ち込む私に追い討ちをかける奥田さん「今のままでカムチャッカでフライは無理だねー。まあ、ルアーの方が何とか・・・」
それから、キャスティングの練習をやりました。「カムチャッカでフライフィッシングをやろう」を目標に。(何だかフィッシングツアーの宣伝みたいな目標ですが)
だって、カムチャッカから帰ってきて自慢げに釣った写真見せて「実はこれルアーで釣ったの」「えっ。フライフィッシングしてなかった?」「そ・そ・それは・・・・」では余りにつらい。
練習を始めて、ある程度キャスティングが出来るようになると、変わりましたね。 これが第3のポイント。「釣りって練習するものなんだ」

趣味の事って「練習するもの」と「練習しないもの」に分けられますよね。
楽器は練習するもの(練習そのものが趣味の時間)。登山は練習しないもの(本当は違うでしょうが、一般的に)。ゴルフは練習するもの。家庭菜園は練習しないもの。こんな感じですね。
釣りは・・・・。普通、練習しないものですよね。「釣りの練習に行ってきます。」「????」ですよね。
釣り。特にフライフィッシングは特にそうなんでしょうが、「練習するもの」なんですね。
そう思うと「キャスティング」はもちろん「タイイング」も「取り込み」も「流れの読み」も「立ち位置」も練習で上達するものなんですね。逆に練習しない。しばらくしてない、では出来なくなるもの。
この発想の転換ができて釣りへの取り組みが変わりました。
「練習するもの」なら、やってないのに出来る訳ありません。つまり釣れません(実際に釣れてませんでした。)
ピアノの前で音は出せても、曲弾けないのと同じ。今はフライフィッシングの「猫踏んじゃった」を弾いている程度ですが。
こんなことが、今年の初めでした。
それからカムチャッカ行きでした。
何とかフライで参加できました。
ちょっと自慢なのでそのときの写真を掲載します。

キングサーモン

こんな感じで奥田さんに叱咤激励されながら、よちよち歩きフライフィッシング の道を3年間歩いてきました。
私の住んでいる淡路島では、なかなか同好の友達もいなかったのですが、カムチャッカに行った方々との交流も生まれました。
まだまだ、フライフィッシングの美しい曲を弾くまでには、いろんな壁があると思います(早速スペイキャスティングに苦戦してます。)が、本当に楽しくなるのは、これから、これからと思って続けていきたいものです。
平成26年12月 年末の犀川レッスンを前に    

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